生検によって診断がついて一週間で抗がん剤治療が始まりました。
人によってすぐに手術をしてしまう人もいれば、
私みたいに先に抗がん剤を使うこともあります。
手術前に抗がん剤を使うことのメリットは
腫瘍の縮小を期待できることと、効果のある薬を判別できること。
同じ病気であっても、同じ薬が効くとは限らないのががんの難しいところ。
私は手術前に3か月で4種類の抗がん剤を投与しました。
結果、腫瘍が縮小するほど効果があったのは、たった1種類。
でもこれは残念なことではなくて、むしろ効く薬があるっていうことの方が
今後の治療に役立つ意味でありがたいことなんです。
骨肉腫の治療では、手術後も一年間予防的に抗がん剤を投与します。
そのときには効く薬だけ選択して投与すればいいわけです。
抗がん剤は有名な副作用として、
吐き気、嘔吐、脱毛、骨髄抑制などがあります。
始めて投与された抗がん剤は、吐き気と嘔吐がものすごく強いものでした。
投与開始して何時間かすると、胃がむかむかしてきて、
起きてはいられない状態です。
あまりの気持ち悪さにずっと寝ていました。
ふと目が覚めたときにものすごい吐き気に襲われて、
胃の中にあるものを全部吐き出しました。
手元にあった膿盆からあふれるくらい
自分でもびっくりするくらいの量でした。
吐くとそのときはすっきりして、でも疲れきってまた寝ます。
そしてまた目が覚めたときに吐くという、その繰り返し。
その間ご飯なんて食べられるわけもなく、
意識も朦朧としていました。
気づくと3日くらい経っていて、お見舞いに来てくれた友達のことも
なんとなくしか覚えていない状態でした。
この経験から、抗がん剤投与中はお見舞いは控えてもらうようになりました。
また、あまり知られていないかもしれませんが、
抗がん剤は腫瘍を攻撃してくれるものですが、
その他の組織にも影響を及ぼします。
だから抗がん剤を投与する点滴ルートは絶対に漏れたりしてはいけないんです。
正常な血管や皮膚を攻撃してしまうので。
抗がん剤の規定量の投与が終わると、
体の中に残らないように、
またこの薬は腎機能を低下させるという副作用もあったので、
腎機能を回復させるために大量の水分点滴を行います。
一日3000ml。
一般的に人は一日に1000~15000mlの水分を摂取して、
お小水として外に排出します。
その倍以上の水分を体に入れるということは、
トイレの回数が半端じゃないです(笑)。
たぶん1時間もするとトイレを我慢できなくなるくらい
大量の水分が体に投与されるんです。
日中だけならいいですが、24時間で3000ml投与するので、
夜ももちろん何回もトイレに起きることになります。
抗がん剤投与中で気持ち悪すぎてトイレに行かれないときは、
膀胱留置カテーテルを入れてもらう人もいます。
そのくらい抗がん剤投与中のトイレは、
近くて、でもとっても遠く感じるものなんです。
きっと抗がん剤治療経験者なら
トイレ事情でずっと語っていられるかもしれません。
そんな嘔吐とトイレに悩まされた抗がん剤一発目ですが、
この薬は私の病気に唯一効いた薬なので、
もし再発や転移があったときには、第一選択薬となります。
もちろん副作用よりも効果を期待して
私も喜んで(笑)その薬を使うと思います。
※人によって使用する薬剤、副作用は個人差があります。