抗がん剤の副作用の一つに骨髄抑制があります。
骨髄っていうのは、血液(赤血球、白血球、血小板)を作っているところ。
それが抑制されるということは、血液の生産機能が滞るということです。
赤血球は血液中の酸素を体中に運ぶので、
赤血球が減少すると体中の組織に十分に酸素が行き渡らなくなります。
これが症状として現れるのが貧血です。
白血球は免疫機能を持っていて、外部からの細菌の侵入を防いだり、
細菌感染したときに細菌をやっつけようと働いてくれるものです。
この白血球が減少すると、他の人よりも感染しやすくなります。
血小板は出血を止める役割を持っています。
怪我をしても傷を押さえたときに血が止まるのは、血小板が血液を凝固させるからです。
そのため血小板が減少すると、出血しやすくなり、血も止まりづらくなります。
鼻をかむだけで鼻血が出たり、歯磨きで血がでたり、
体を少しぶつけただけで皮下出血になったりします。
薬によって骨髄抑制が起こりやすいものとそうでないものがありますが、
投与して1~2週間後に血液の値が最低値を示すようになります。
赤血球、白血球、血小板の中で一番数値の変動が気になるのは
実は白血球です。
普段生活している中では気にしたことはないと思います。
でも抗がん剤の投与によって、白血球はズーンと落ちるんです。
白血球の正常値は4000~9000。
これが2000くらいまでは簡単に落ちます。
落ちると何が起こるかと言うと、免疫機能が弱くなるので、
口内炎ができやすくなったり、
風邪を引きやすくなって肺炎になってしまったりもします。
だから抗がん剤治療中は、うがいや手洗いをこまめにしたり、
マスクをつけたりと、感染予防を徹底して行います。
そして1000を切るようになると、感染のリスクが大きくなるので、
外部との接触をなるべく避けるようにしなくてはならず、
食べ物も生モノが禁止になります。
私も白血球が減ってくると、部屋のカーテンを閉めて過ごすように言われ、
ベッドでもマスクをつけていました。
私の白血球の最低値は900で、生モノ禁止令が出されました。
お刺身とか、実はそんなに食べないんですが、
ダメって言われると食べたくなるものです(笑)。
白血球を上げる薬を毎日注射して、
2000くらいまで上がったところで、おねだりしてお寿司を買ってきてもらいました。
こんな風に抗がん剤治療が始まると
投与中は吐き気と嘔吐に襲われて、
投与が終わっても脱毛し始めたり、白血球が少なくなってきたりと
けっこう忙しいんです(笑)。
で、2日に1回は採血をして
白血球や腎機能の低下が見られなくなると、次の抗がん剤投与が始まります。
けっこうストレスの溜まる時間なので、
私も周りの人も隙を見ては外出願いを出していました。
もちろん白血球が低いと外出はできないので、
白血球が上がってきたところで、次の投与が始まる前の、
とっても短い時間を逃すまいと必死でした。