【もう一つの誕生日】

2003年8月13日、私の体が生まれ変わる日がきました。

手術で腫瘍のある大腿骨を取り除いて、人工骨にします。

手術への恐怖はあったけど、悪性腫瘍を体の中から取り除くという、絶対的な治療。

もちろん期待もありました。

 

早く手術してほしい気持ちと

もう少し今の体で歩いている自分でいたい気持ちが入り混じっていました。

 

 

ストレッチャーに乗り、

母と叔母たちに見送られて、手術室へ。

 

当時、手術前には前投薬の注射が行われていました。

麻酔の効きをよくするためと不安や緊張を和らげるための

鎮静効果をもたらす筋肉注射です。

 

これを打ったせいか、ストレッチャーに移るとすでにうとうとして、

見送ってくれる人たちの声に応えたいと思いながら、

うまく反応できない自分がいました。

(現在は前投薬は行われないようになりました。)

 

 

手術室に入ると、

全身麻酔の前に背中から硬膜外麻酔のカテーテルを挿入します。

太い針を刺して、その中から細いカテーテルを通していくというもの。

痛いとよく聞くので覚悟していましたが、

痩せていたためかすぐに留置され、それほどの苦痛はありませんでした。

 

私の中での第一関門突破。

 

 

全身麻酔はあっという間。

「せきぐちさーん」って呼ばれて、これから始まるんだぁって思ってたら

終わっていました(笑)。

 

 

9時間予定でしたが、目覚めると12時間経っていました。

足の手術をして、その後肺の手術をして、最後にまた足の手術という、

手術室看護師から見ると、

すっごくめんどくさい手術だったと思います。

 

先生、手術室看護師さん、ありがとうございます。

 

私は寝ているだけですが、待っている家族や親戚は

本当に疲れたと思います。

 

 

 

後で母に聞いたことですが、手術の途中の説明で

もしかしたら足を切断するかもしれないと言われたそうです。

温存する手術をしたけど、術後に足先への血流が確認できなかったとか。

 

寝ている間にそんな話になっていたとは知る由もありません。

とりあえず足は残っていました。

 

でも骨肉腫とはそういう病気。

足を切断するのは、そんなに珍しいことではないので、

今後も覚悟して生きていくことになると感じました。

 

 

肺の手術もしたため、術後はICU管理。

術前に入れた硬膜外カテーテルから鎮痛薬が入れられるので

足の痛みは、あまりなかったです。

でも肺の手術で入れた胸腔ドレーンは引っ張られてる感じで痛かった記憶があります。

 

傷を作ってるんだから、痛いのは当然。

我慢するものではないってわかってるので、遠慮なく鎮痛薬を使ってもらいました。

 

 

あと意外に辛かったのが口がカラカラに渇いてしまうこと。

全身麻酔後は飲水制限がある上に酸素マスクを当てているので、

唇も口腔内もガビガビになりました。

私が押したナースコールの内容は、「口を湿らせてほしい」がほとんどでした。

 

 

術後2日目に一般病棟に戻ることができました。

病室の人たちが「おかえり~」って言ってくれて、

あぁ、私の手術が終わったんだ~って、やっと安心できた瞬間でした。