【関口さんと同じ病気で手術しました。】

関西の女性からそんなメールをいただきました。

このホームページをご覧になってメールせずにはいられなくなったようです。

聞いてびっくり、私と同じ2003年に病気がわかって同じ手術を受けられたとのことでした。

私もそれだけで親近感です!単純(笑)。

  

  

でも彼女は共通点があるだけでメールをくださったのではなく、私に相談があるとのことでした。

3月に転んで膝蓋骨(いわゆる膝のお皿)を骨折してしまい、今は自宅療養中とのこと。

  

  

はじめに少し説明しておくと、

私や彼女の病気は大腿骨の骨肉腫。つまり足の骨のがんです。

がんを切除するということは、大腿骨を切除するということ。

大腿骨がなくなるともちろん立つことも歩くこともできなくなるので、代わりとなる人工骨を入れます。

そしてだいたいが膝関節が近いので、膝関節も人工に置き換えることが多い病気です。

  

術後はリハビリで日常生活に困ることないくらいに歩けるようになります。

ただ人工関節で怖いのは感染。

「感染」なんて言葉、日常生活では使わないですよね?

でも私たちは日常的に怖れていることなんです。

  

傷ができたり、風邪をひいたり、膝に血が溜まることで、人工関節が感染を起こすと

もちろんそのままにはしておけないので再手術となります。

でもただ人工骨を入れ替えるのではなくて、人工骨を取り出して、体に抗菌薬を投与して、

自分の体に人工骨を入れられる状態まで待つことになります。

  

これ、すごーく時間がかかります。

当然歩けないので、心身ともにフルストレスな状態になると思われます(予想ですけどね)。

そのため人工関節を入れている患者は転ばないこと、怪我をしないこと、風邪をひかないこと、

などなど日常的に気をつけることがいっぱいなんです。

 彼女ももちろん感染の危険性はわかっていました。

最悪足を切断することになることも知っていました。

でも今回、転んで膝を骨折したことで改めて普通の人とは違うこと、

何気なく過ごしていた日常が1回の転倒で奪われてしまうことを実感してしまい、

とっても怖くなってしまったようです。

  

 「こんな珍しい病気になったことを今になって認められなくなってしまい、

感染、ネジの緩み、転移など、考えても仕方ないことを考えては怖くて怖くて・・・。

この足で生きていくことに自信がなくなり、死んだ方がいいのかもとさえ思ってしまいます。」

  

 私にはその気持ちものすごくわかりました。

足が不自由になることで、看護師の仕事ができないかもしれない、大好きな富士山にもう登れない、

これからも再発や転移や感染にビクビクしながら生きていくのか、

そう思ったとき、私も早くこの人生を終わらせて健康な自分を最初からやり直したいって当時は思ったからです。

  

 でももちろん当時の自分にも、今の彼女にもそれなりに役割はありますし、必要としてくれる人はいます。

彼女には、いつも支えてくれる旦那さまと可愛いお子様が2人もいるそうです。

彼女はもう自分一人の体ではないんです。

  

 今は自由に動くこともできず、家事や仕事もできない上に、

感染への恐怖が大きすぎて、自分の存在の意味が見えなくなってしまったのかもと思いました。

彼女はそのマイナスの気持ちをどう受け止めればいいのかわからないとおっしゃっていました。

  

 私は話をじっくり聞き、彼女は絶対に立ち直れる!っていう確信を持ちました。

この病気を乗り越えて今まで生きてきた強さ、家族という守るべきものがあること、

それは彼女を前に進ませるのには十分なものでした。

  

そして、そのために彼女に必要なこともわかっていました。

私は彼女へのカウンセリングを引き受けて、一緒に前に進もうと決めました。

関西に住まわれているので、お会いできないのが心配でしたが、

それでもほぼ毎日メールでカウンセリングをした結果、

「家事育児に意欲を持てるようになりました」

「今日は気分よく過ごせて自信を持ててきました」

など前向きな言葉も聞かれるようになりました。

  

 同じ境遇の人に会えたことは彼女にとって大きかったようで、

嬉しいことも辛いこともなんでも話してくださいました。

話せる人がいるっていうのは、実は一番の治療になると思っています。

家族でも友人でも同じ境遇の人でも、自分の想いを受け止めてくれる人がいるだけで

安心感は増しますし、自分は大丈夫って思えるんです。

  

 私も彼女に出会えたことで自分の経験はやっぱり無駄ではないんだと

また胸を張れるようになりました。

   

この更新の少ない(^_^;)ホームページを見つけてくださったことに感謝しつつ、

これからも遠くで頑張っている彼女のことを想って私も頑張ろうと、心に誓いました。