【くびになった理由】

何をするにも

病気や障害を理由にしたくない

そう思って生きてきてますが

病気を理由に

仕事をくびになったことがありました

私は看護師の国家試験に合格した直後に

がんになりました

半年間の入院生活を終えて

家でリハビリという名の生活をしていましたが

だんだんと「何かしたい」欲がでてきます

一緒に学校を卒業した子たちは

新人看護師として奮闘している

私は病気と闘ってきたけど

今のんびりしてるのがもったいない

そう思ったんです

治療をがんばったのも

一日でもいいから看護師として働きたいという

強い想いがあったからでした

で看護師のバイトをしてみようと思いました

看護師の経験はないけど

それでも募集のかかっているクリニックに面接に行って

無事に採用されました

そこは内科のクリニックで

主な仕事は診療の補助と処方薬の準備でした

座ってできる業務もあるし

クリニック自体そんなに広くないので

たくさん歩くこともない

私にも仕事ができるという喜びで

続けて通っていました

数日経って

空き時間に他のスタッフに足のことを聞かれました

当時は杖は使ってませんでしたが

それでも歩き方でわかってしまいます

嘘はつきたくなくて

正直に話しました

足のがんで手術をしたこと

肺にも転移があって一緒に切除したこと

スタッフはびっくりしていましたが

応援の言葉をかけてくれました

翌日同じように出勤した際に

クリニックの人事の方に呼ばれて

体のことで何かあったら責任はとれないから

仕事を辞めてほしいと言われました

足のことは事前に話してはいましたが

肺に転移していたことは聞いていないというのが理由でした

でも肺の転移巣も手術で切除しているし

今は体にがんはありません

そう言ってももう辞めてほしいという言葉を

取り消してはくれませんでした

がんは今は体に存在しないのに

なぜ仕事をくびになるのか

意味がわかりませんでした

でもこれが世間の現実なんだと知りました

がん患者は定期的に検診に行く必要がありますし

もし異常が見つかったときには

すぐに治療に入らなければなりません

そういう不安定な健康面が

くびという形になったのでしょう

悔しかった

働きたい気持ちがこんなにあるのに

普通の人とは違うんだということを

悔しい形で知ることになりました

仕事をする上で

病気のことや障害のことを話すのは

ときに不利になることがあります

配慮してほしいことがある場合は

もちろん話さなければなりませんが

必要以上に話す必要はないんだと学びました

同時に

病気のことに理解を示してくれない

そんな場所では私も働きたくないと思ったのでした