【慣れてはいけないこと】

看護師になって10数年経って

慣れたことも多いけど

慣れてはいけないこともいっぱいあるなーと

時々振り返るのです

点滴入れるのは上手になったけど

点滴入れたときの痛そうな表情に慣れてはいけない

膀胱留置カテーテルは簡単に入れられるけど

それが入っているという苦痛を忘れてはいけない

手術の準備はさくさくできるけど

手術を受ける方の不安な気持ちを軽く感じてはいけない

一年目の看護師に指導するのは

多くは技術的なことで

でも本当はもっと

患者さんがどういうところに苦痛を感じているのかとか

医療者の一言一言にすごく敏感になってることとか

眠れない夜にほしいのは

薬じゃなくて聞いてくれる誰かなんだとか

そういうこと伝えられたらいいのに

看護はその場だけの関わりじゃない

点と点がゆらゆら揺れながら線になって

その線の中にある感情に

寄り添うものなんじゃないかって思うし

その揺らぎは一人一人違うから

もちろん慣れることなんてできないのです

私が患者だったころ

看護師の言葉に傷ついたりもしたから

そんな風にはならないって決めているんだ