たまに真っ暗な道に一人でいるような感覚に陥ります。
生きるために、抗がん剤も手術も受けるって決めました。
でもあと何年生きられるのか、考え出すと不安で仕方がなかった。
親にはあまり心配はかけたくありませんでした。
きっと私と同じくらい辛い思いをしているだろうから。
21歳の娘が悪性の病気と闘っている。
親として何ができるか、日々考えているはず。
だから親には弱音を吐きたくなかったんです。
親が涙するだろうことがわかるから。
お見舞いに来てくれる友達は「頑張ってね」って言います。
でも正直何を頑張ったらいいのかわからなかった。
看護師になったのに、毎日病院のベッドで過ごしている。
抗がん剤の副作用に耐えて、なんとか生きる道を探している。
私としては十分頑張っていたんです。
だからこれ以上何を頑張ればいいのかわからなかった。
あなたより苦しい毎日を送っているし、
頑張れば生きられるって言うなら、その方法を教えてよ。
そんなひねくれたことを考えていました。
こんなこと思ってたなんて、友達に嫌われてしまうかもしれないですね。
でも精神的に不安定なのは確かでした。
がんの専門病院っていっても良性の腫瘍の患者さんもいます。
良性の場合は手術で腫瘍を取り除けば、それで完了。
抗がん剤治療もなく、予後を気にすることなく退院していきます。
同じ病室で、患者さんとその家族が
「悪性じゃなくてよかったね~」なんて話しているのをたまに耳にしてしまうと
羨ましくて、悔しくて、涙が止まらなかった。
「なんで私が?」なんて考えないようにしていた。
でもやっぱりどこかで思っていた。
私よりもどうしようもない人間はいっぱいいるのに、
なんで私が病気になったんだろうって。
家族と同じ物を食べていたし、
友達と同じ勉強をして、看護の実習を乗り越えてきた時間は一緒なのに、
なんでいきなり私だけ違う道に来てしまったのか。
何を恨めばいいのかわからなくて、
そんな精神状態が私をどんどん追い込んでいきました。