私の父はあまり怒ることのない
穏やかな人でした
自営業をしていて
規則正しい生活をして
植物の本を見るのが好き
興味があることはとことん勉強する人でした
地元の写真クラブにも所属していて
休みの日には仲間と撮影会に出かけていました
健康上の問題はなくて
病院にかかることも全然ありませんでした
だから心筋梗塞で
亡くなったと聞いたときは
しばらく動けないくらい放心状態でした
その日の朝
いつものようにお店を開けに行った父が
なんとなく具合が悪いから救急車を呼んでほしいと
母に言ったそうです
救急車が来ると自分の足で車に乗って
そのまま意識を失ったと聞いています
すぐに母からの着信がありましたが
私はすでに仕事中で電話に気づくことはできませんでした
母からの留守電に気づいたのは
仕事の休憩に入った午後2時すぎ
すぐにかけ直すと
父が亡くなったという事実を聞かされました
実家から1時間くらいの場所で
一人暮らしをして病院勤務をしていた私が
実家に帰りついたのは午後5時
親戚はもう集まっていて
姉と弟がお葬式の打ち合わせをしていました
母は父のいなくなったお店を通常通りに切り盛りしていました
お店閉めればいいのにって思いましたが
お店の賑わいが聞こえたほうが
父が喜ぶと思ったみたいです
夜お店を閉めたあと
母が自宅に倒れこんできました
「参ったね…」
そんな風に弱々しい母を見るのは初めてでした
何かしらの前兆はあったと思うんですが
急に発症して命を奪っていく心筋梗塞
あのときの絶望感は今も忘れられません
父の急死から学んだことは
いつ誰が病気になっても
おかしくないっていうこと
自分は健康だから大丈夫って思ってる人は多いと思いますが
そんな保証はどこにもありません
実際に私も21歳でがんになってびっくりしましたけどね
今年はコロナが流行して
いつ誰がなってもおかしくない状況になったことで
危機感を持つ人も増えたように思います
大切なのは
何事も他人事だと思わないこと
なかなか実感できるものではないけれど
ちょっと意識を変えるだけで
日常の景色が違うふうに見えるようになって
何気ない日々も大切に過ごせるようになりますよ